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河口湖自動車博物館・飛行館

■富士山の近くにある自動車と飛行機の博物館。個人所有で、毎年8月だけ一般にオープンです。
私は、クルマメーカー在職中、1988年ごろ(?)、高級車用エンジン開発のために、比較車・参考車の実走評価ということで、 この地域を訪れ、自動車館は見ました。でも、飛行館は気がつかず。そのころあったのでしょうか?

■私の知人のMTDさんが、この夏(2008年)、訪れました。MTDさんは、同じ会社の先輩で、2輪エンジンの設計経験を多々おもちの、エンジン大好き人間。特にプッシュロッド型エンジンに経験豊富。そのMTDさんが撮った写真を紹介します。エンジンの専門家だけにエンジンの写真ばかり。航空エンジンは低速プッシュロッド方式ばかりで、MTDさんの得意ゾーンです。

■それでは、ご覧ください。写真に添えた解説はMTDさんのもの。以下の写真は、写真をクリックすると高精細な写真が見られます。

零式戦闘機


1)展示場の様子でも少し広ければな!と思うが近場でじっくり見れる利点はある。

2)目玉の一つが52型の零式戦闘機。空を飛ぶ事よりも原型に忠実に戻す事を目的に復元されているため、今迄みた中で一番見栄えが良い。
3)同21型零式戦闘機。52型と異なりエンジンの排気管は集合式。此れ等の復元作業のビデオは迷わず買って来たが、未だ見ていない。

栄エンジン


4)此の「栄」エンジンは火が入るとかで白煙を上げて廻っている写真が飾ってあった。

5)エンジンも大変綺麗。
6)此れも栄 左下の説明に何と書いてあったかは忘れた。

   
7)此れは栄エンジンですが分解展示しているのは此処だけ。書き忘れたが栄は130φX150mmの14気筒二重星形空冷(27,9リッター)の1000馬力級のエンジンで隼/零戦等に 搭載され30,119台が生産された。
8)同じくコネクティングロッドも分解展示。
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星型エンジンの、ひとつのコンロッド大端部に他の6本のコンロッドがついているユニーク構造がよくわかる。(ウエブ編集者註)

熱田エンジン

   

10)同上エンジンのコネクティングロッド左右のシリンダーのオフセットを零にする為、俗にFork & Bladeといわれるコネクティングロッドを使っている。 (片方の大端を二股にして、もう片方をその間に配置)
9)愛知航空機の「熱田」エンジンも5台か6台有った。 熱田はダイムラーベンツDB601のライセンス生産品の12気筒倒立V型水冷エンジン (上下をひっくり返して展示)で機種名ハ-40(ハ-四〇)。スパーギヤ+ベベルギヤ駆動 のSOHCのエンジンで無論4バルブで、 BxSは160x150で33.93リッター。 元々イギリスのロールスロイスの名エンジン/マリーン(水冷正立V12/4バルブSOHC)の対抗馬として生まれたので、ロールスの 137.2x152.4/27リッターより一寸大きめの排気量を選んでいるのと、気筒間の空燃比のバラツキを抑えるため燃料噴射を採用しているのが味噌です。ドイツの最新技術を全部欲張って取り入れたので、当時の日本では、クランクシャフトの所定の精度を確保出来かったため、焼き付き事故が続発したと云われており、マトモな性能が出なかったといわれる。ハ-四〇は「飛燕」に搭載されていた。)

誉エンジン


11)疾風用「誉」エンジン
栄の130φX150mmのボアーストロークをそのままに、18気筒とした35.8リッターの2000馬力級エンジンで外径は1180mm/重量 835kgで開発時は世界一のエンジンと言われ8770台が生産された。カタログ性能は良かったのであるがハイオクタンガソリンの入手難、シリンダーヘッドの鋳造困難、熟練工不足に拠る加工精度低下等に拠り実戦での使用エンジンの性能は可成り低下していたと云われている。

12)同じく銀河用の誉エンジン。設計者の中川良一氏の昭和63年のサインが有る。
「誉」は、基本的には[栄」の7X2の14気筒二重星形エンジンを9x2の18気筒にしたエンジン。外形を出来るだけ押さえて9気筒化をしているため、シリンダーブロックの強度が持たないのでシリンダーケースをアルミから薄肉鋳鉄に代えたり、同じ様な全面投影面積で9−7=2気筒X2=4気筒分に相当する増加出力分を冷却するため冷却フィンのピッチを詰め枚数を増やす等の冷却対策、プロペラ減速機の強度UPの為にプラネタリ―方式からベベルギヤー方式に変える、クランクシャフトの強度UP等を行なっている。

金星エンジン

13)中島飛行機製栄/誉の対抗馬が此の三菱製「金星」
140φX150mmの14気筒とした32.リッターの二重星形の1200馬力級エンジン。
外径は1218mmで15124台が生産された。前列シリンダーのカムも後列シリンダーのカムもエンジンの前についているので栄系との違いが識別出来る。

注:カムの位置は[栄」「誉」は前列シリンダー用は前、後列シリンダー用は後に配置してある。

米国の第2次大戦
航空機エンジン


21)プラット&ホウィットニー R-985ワスプジュニアー Pratt&WhitneyR-985Wasp Junior。
131.8φX131.8mm9気筒で16.17リッター*。外径1162mm290kgの450馬力級エンジンで戦後も民間で広く使われていた。(*'08/10/6改訂)

22)Wright R-1820
155.6φX174.6mm9気筒で29.88リッター。外径1365mm442kgの800馬力級エンジンで戦後も民間で広く使われて傑作エンジンと云われている。。

23)超傑作エンジンと云われているWright R-3350
155.6φX160.3mm18気筒で54.86リッター。*
B29用との説明がついていたが後部に排気タービンを付けた3250馬力級のターボコンパウンド型の為何かの思い違いと思われる。(*'08/10/6改訂)

24) Wright_R-3350_Rear View